Envoy Gatewayは、Kubernetes環境におけるAPIゲートウェイの実裝として、CNCF(Cloud Native Computing Foundation)のエコシステム內で注目を集めている。このツールは、Gateway APIを基盤にしたデータプレーンとコントロールプレーンの橋渡し役を果たし、高可用性(high availability)と回復性(resilient)を確保する設計が特徴である。本記事では、Envoy Gatewayがどのように故障や障害に備え、継続的なサービス提供を実現しているかを解説する。
Envoy Gatewayは、Kubernetes APIサーバーを通じてGateway APIリソース(例:Gateway、HTTP Route)を受信し、XDS(xDS API)形式の構成に変換する。このXDS構成は、データプレーンのEnvoyプロキシに配布され、リアルタイムで設定変更を反映する。コントロールプレーンは、KubernetesのDeploymentとHPA(Horizontal Pod Autoscaler)を活用し、Envoyプロキシのスケーリングと構成検証を自動化する。
XDS構成は、XDSサーバーのキャッシュに保存され、Envoy Gatewayがデータプレーンのプロキシクラスターを動的に更新する。このメカニズムにより、設定の変更が即座に反映され、サービスの連続性が保証される。
Envoy Gatewayは、BrewerのCAP定理に基づき、可用性(availability)を優先する設計を採用。これにより、外部アプリケーションへのアクセスが中斷されることなく、開発者の設定変更が受け入れられる。コントロールプレーンの複數リプリケーションは、リーダーが失敗した場合でも、他のインスタンスが即座にXDSキャッシュを引き継ぎ、データプレーンの中斷を防ぐ。
APIサーバーとの接続失敗やトラフィックの急増に対応するため、自動回復メカニズムとリソース負荷削減機能が実裝されている。HPAはトラフィックの変動に応じてプロキシクラスターを動的に拡張し、メモリ使用量が閾値を超えた場合に新規リソースの受付を停止するなど、システムの安定性を維持する。
Envoy Gatewayは、高可用性と回復性を実現するため、コントロールプレーンの冗長性、XDSキャッシュの一貫性、自動回復機能を組み合わせた設計を採用している。開発者は、HPAや健康チェックの設定を通じて、システムの安定性を確保することができる。今後は、コミュニティの協力により、さらなる柔軟性と信頼性の向上が期待される。